Tシャツ豆知識
何気なく着ているTシャツも、その背景を知るとちょっと特別に見えてきます。
生地の厚さ(オンス)、素材、染め方、プリントとの相性、そして歴史。
初心者の方にもわかりやすく、Tシャツ選びがもっと楽しくなる内容をまとめました。
1. 生地の厚さを示す「オンス(oz)」とは?
Tシャツのスペックでよく見る「5.6oz」「6.2oz」などの表記。
オンス(oz)は1平方ヤードの生地の重さを指し、Tシャツでは「生地の厚みの目安」として使われています。
オンス(oz)のざっくりした目安
- 4.5〜5.0oz:軽め・薄手。真夏のイベントやスポーツ向け。
- 5.6oz:最も定番の“中厚”。透けにくく万能。
- 6.0〜7.4oz:厚手でしっかりめ。物販Tやストリート寄りのアイテムに。
オンスは厚さの“絶対値”ではない
同じオンスでも「糸の細さ」「編み方」「密度」によって、体感の厚みや耐久性は大きく変わります。
そのため、オンスはあくまでも目安として見るのがポイントです。
オンスと発色・耐久性の関係
プリントショップの実感として、目の細かい中厚〜厚手ボディは、 インクがきれいに乗りやすく、洗濯に強い傾向があります。
- 薄手 → インクが沈みやすく、発色が少し淡くなる場合あり
- 中厚以上 → 表面が整っており、プリントが安定する
- 高密度ボディ → 色ムラが出にくく、耐久性も高い
プリント方法との相性も重要なので、詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
インクジェットプリント /
DTFプリント /
シルクスクリーン
2. 素材による違い ― コットンとドライT(ポリエステル)
コットン(綿100%)
- 自然な風合いで、肌ざわりが良い
- プリントの乗りが良く、ほとんどの方式と相性が良い
- 洗うほど馴染んでいく“育つ”感覚がある
生地の「目の細かさ」で発色が変わる
Tシャツの表面がフラットで目が細かいほど、インクが均一に乗り、鮮やかな発色になります。
- 目が粗い → 染み込みが増え、色が沈む
- 目が細かい → 発色が良く、細い線もきれいに再現
プリントカラーの傾向はこちら: プリント色見本のページへ
ドライTシャツ(ポリエステル100%)
スポーツ・イベントなどで人気の機能素材。軽く、乾きやすく、型崩れもしにくいのが特徴です。
- 速乾性が高く、汗をかいても快適
- 縮みにくく、耐久性がある
- 屋外イベントやユニフォームに最適
一方でポリエステルはインク吸収が少なく、インクジェットでは発色が不安定になることがあります。
そのため、以下の方式が相性◎です:
- DTFプリント(発色・耐久性ともに安定)
- シルクスクリーン(多枚数向け)
- アイロンラバー(ロゴ/番号に最適)
また、濃色ポリエステルでは昇華移染(ブリード)と呼ばれる色移りが起こる場合があるため、加工方法の選定が重要です。
3. Tシャツの染め方 ― 先染め・後染め・製品染め
Tシャツのカラーは「いつ染めるか」によって大きく3種類に分かれます。
先染め(糸染め)
- 糸の段階で染めるため、色ムラが少なく上質
- チェック・ボーダーなど柄ものによく使われる
- 均一な品質を求めるアイテムに向いている
後染め(生地染め)
生地を反物として染める方法。
無地Tシャツでは最も一般的に採用される傾向がある染色手法です。
- カラー展開がしやすい
- ロット管理しやすく、安定した供給に向く
- カラーにより微妙な風合いの差が出やすい
製品染め(ガーメントダイ)
完成したTシャツを丸ごと染める方法。後染めの一種ですが「一点ずつ風合いが異なる」のが魅力です。
- ヴィンテージ感のあるムラ染め・柔らかい発色
- 縮みや色ブレなど個体差が生まれる
- “風合い重視”のブランドがよく採用
4. Tシャツの歴史 ― 肌着から文化へ
1900年代初頭:ヨーロッパの肌着として誕生
洗いやすく動きやすい肌着として普及し、作業着としても定着していきました。
1910〜40年代:アメリカ軍での採用
兵士のインナーとして採用されたことで、Tシャツは機能性インナーとして急速に広まります。
1950年代:映画で“外に着る服”に進化
主演俳優のTシャツ姿が世界的に流行し、一般的なファッションアイテムへ。
1960〜70年代:ロック・カルチャーとメッセージT
バンドTやスローガンTが登場し、Tシャツは「個性を表現するキャンバス」へと進化しました。
5. あなたに合う“最高の一枚”を選ぶために
- オンスで厚さのイメージを掴む
- 生地の目の細かさをチェックする
- 用途に合わせて素材を選ぶ(綿/ポリエステル)
- 最適なプリント方式を知る
